ベルセルク覚書 - ワールドガイド・世界観篇

last update:2003/12/20

BERSERK WORLD GUIDE Vol.3 ワールドガイド・世界観篇

こちらでは現世（うつしよ）だけでなく、幽界（かくりよ）などをも含んだ、ベルセルクの深淵なる世界観についてガイド。現在、第26巻あたりまで対応。いろいろ試行錯誤しながら作成中…。
復活したベルセルク公式サイトに世界観解説のコーナーができましたので、そちらを見たほうがよいかも。

Vol.1（地理篇） | Vol.2（王都篇） | Vol.3（世界観篇） | Vol.4（使徒篇） | Vol.5（魔術篇）

人間達のすごす現実の世界であり、人間達が見たり触ったりすることのできる物質（ほんもの）の世界。実はその全ては少なくとも他の二つの世界と重なり合い成り立っており、その二つの世界とは、一つは俗に言う霊の世界・「幽界（かくりよ）」であり、もう一つは存在の根源である魂の世界・「本質（イデア）の世界」であるという。そして、そのようにして現世の全てが成り立っている様子を「三身一体」と呼ぶのだという。これは現世に住まう人間にとっても例外ではなく、その存在は現世での物質（肉体）の他に、幽界の幽体と「本質の世界」の魂で成り立っている。人間達が見たり触れたりできるのは現世で肉体などの物質を持ったものだけで、肉体を持たない幽体のみの存在（悪霊など）は基本的に知覚することはできない。

「精神（アストラル）の世界」、「霊の世界」とも。平たく言ってしまえば「あの世」のことで、人間は肉の体でこの世界を知覚することはできない。「あの世」とは言っても、死んだ者の霊ばかり存在しているわけではなく、現世で生きている人間の幽体や、人が「存在する」と信じることによって存在している妖精やトロール、さらには巨大な意識（アストラル）体であるゴッド・ハンドまでが存在している。また、現世に存在する自然物などの物体の幽体もこの世界に存在しており、幽界の「狭間」では現世の物体の幽体が現世さながらの風景を形成しているという。なお、現世の固体・液体・エネルギー・気体という４つの状態は、すべて幽界における地・水・火・風で象徴される元素霊（エレメンタル）達の働きに共鳴したものであるようだ。

▼ 狭間（はざま）

幽界の比較的浅い層のことを言う。ここには、獣魔（トロール）や妖精（エルフ）などの幽体の生き物が伝説さながらに存在しており、風景もその多くが現世に在った物質（もの）の幽体から成っているので、現世のものとさほど変わらないらしい。そのため、自分の死に気づかなかったり、現世に思いを残す死者達はこの層にしばらく留まっており、これがいわゆる死霊・悪霊の類いや、グリフィスの前に現れた霊魂のような状態であると思われる。だが、このほとんどの者も己の死を自覚するか幽体の形を保てなくなるとこの層から消えて逝くという。降魔の儀で烙印を押され生贄とされながらも生き延びた人間は、この世界に住まうことを余儀なくされ、現世にありながらも幽界の魔物達に終始つけねらわれることになる。そして、絶対者グリフィスも、彼の周りで霊魂の姿があらわになっていたことから、彼も（受肉で得た）肉の体を持ちながらこの領域に身を置いている存在なのかもしれない。多くの魔術士は物質世界の制約が薄く魔術の鍛錬に適したこの領域に居を構えており、魔女フローラもその例外ではない。エルフヘルムには魔術士もいるそうなので、エルフヘルムもこの領域にあるのかもしれない。

▽ 狭間の現世の領域

幽界と現世の二界にまたがって存在する「狭間」のなかで、現世側に位置する領域。烙印の者が烙印の呪力によって主に身を置いているのは厳密にはこの領域である。ガッツが長大なドラゴンころしを振るえるのも、物質世界からの制約の比較的薄いこの領域にいるおかげなのだろうか？
▽ 狭間の幽界の領域

幽界と現世の二界にまたがって存在する「狭間」のなかで、幽界側に位置する領域。肉体を持ちながらも立ち入れるギリギリ？の領域。霊樹の森があるのはこの領域である。

▼ 闇の領域（クリフォト）

幽界の闇の領域。暗い性質のオドを帯びる幽体、暗く澱んだ心が群れ集うことによって形成される。ここで“忌まれし魂が幽体（かたち）成す”ことによって、トロールやオーグルは生み出されているようだ。
▼ 局（セフィラ）

どうやら幽界の中のとある層を指すのではなく、幽界の中でも同質のものが寄り集まって形成されるような局部的な領域をさす言葉のようだ。スランが言うところによると、他のゴッドハンドはそれぞれがお気に入りのセフィラに融けて形も成さずに漂っているらしい。

▼ 幽界の深層（＝異次元空間？）

幽界の奥深くの風景は現世とは似ても似つかない想像を絶するものであるという。ここには人間などの幽体とは比較にならない巨大な意識（アストラル）体が存在している。いわゆる天使や悪魔、多神教での神々と呼ばれる者達である。ベヘリットはこの幽界の深層と現世を結ぶ鍵であり、5人の御使い（ゴッド･ハンド）を召還するための呪物であるそうだが、ならば、ここの天使や悪魔とも呼ばれる巨大な意識（アストラル）体はゴッド・ハンドのことであると考えて間違いないだろう。ゴッド・ハンドの存在は幽界を探求する魔術師達にとっても大きな謎の一つであるらしく、分かっていることは彼らはかつて人間であったこと、転生した彼らが幽界のはるか深淵に潜む何者かの意思の執行者であるということだけであるという。そして、ベヘリットとは、人間の運命をも司る高位の霊体あるいはそれ以上の存在が現世に遣わしたものだという。

存在の根源である魂の世界。この世界についてはこれだけしか語られていない。「幽界の深層のさらなる深み」にあるという人が自らの業（カルマ）によって至る領域（いわゆる天界や地獄と言われるもの）、そしてそのさらに奥深くにあるという深淵の存在がフローラによって語られるが、それらがこの世界のことなのかもしれない。グリフィスの言う「一なるところ」というのもこの世界のこと？

幽界で形を成すものは、霊・幽体・意識（アストラル）体・霊体などと様々に呼ばれている。これらは概ね同じものと考えても良いように思うのだが（※）、とりあえずこのページではこれらを一つの用語に統一することはせずに、作中の表現通りに記載してある。（※「自我という幽体」（自我＝幽体）、「この子達は世界に満ちる大気の幽体大空を吹き渡る風の精神（こころ）です」（幽体＝精神）、「俗に言う霊…精神（アストラル）の世界」（霊＝精神＝アストラル）、「意識（アストラル）体」（意識＝アストラル）、これらをリンクさせていくと自我＝幽体＝精神＝アストラル＝意識＝霊となる。）

変わりゆく世界･･･

聖地での光の鷹の降臨後、作中では何度か世界が変わりつつあるということが示唆されています。このページでは主にフローラ達が語る言葉をもとにベルセルクの世界についてまとめていますが、彼女らが語ったのはあくまでも光の鷹の降臨前の世界のことで、その後に世界で起きている変化については気づいてはいながらも、その事態を把握しかねているようです。というわけで、このページは早くも時代遅れなものになりつつあるようですが、時代の変化に取り残されないように、今までに作中でなされた示唆をここでおさらいしておくとしましょう。

「望みとは　完璧な世界を孵化することだ」（第20巻・84ページ）

「私達が真に求めるものはただ一つ／それはこの世界に決定的に足りない最初で最後の欠片／即ち…」（第22巻・95～96ページ）

「現世の者には関わり無きこと…／あまり深入りせぬほうが身のためだ／…尤も　これから聖地で起こることいかんによっては　その理（ことわり）自体が変わるやもしれぬが…」（第20巻・121ページ）

その日辺境より生じた亀裂から世界の形は崩れ始めた（第21巻・242ページ）

「何つゥーかさァ…／最近変な感じしないか？」（第22巻・10ページ）

密かに…木々の虚が　草葉の陰が　波の間が　～　／黙には確かに何かが息衝いていた（第22巻・18～20ページ）

風が囁いていた／今　世界が変わり始めたのだと（第22巻・133ページ）

「それに最近やたら悪霊だの夢魔だのウジャウジャ出るしさァ」（第23巻・17ページ）

「冬の初めの朔の夜／獣鬼（トロール）の群れが村を襲ったんです／まるで物語から抜け出したかのかのように　やつらは闇（くらがり）から立ち現れました／…そうあの夜以来何もかもまるで世界が変わっちまいました／まるでそれまでの現実（ひび）が嘘だったかのように」（第199話霊樹の館①・6ページ目）

「それともこれも鷹なる者の出現による影響なのか……？」（第200話霊樹の館②・6ページ目）

「あれには私も懸念を持っています／獣魔（トロール）とは本来幽界のもの／人の目に触れることすら滅多にあるはずがないのです／ましてやそれがが人里を襲うなど…（第201話幽界・3ページ目）

「でも相手は現世の理（ことわり）すら通じない超絶の存在なのですよ／　～　／人々を巻き込み魅了する巨大な気（オド）の流れ／現世のいかなる刃も触れえぬ強運／鷹…／あれは人の姿はしていても霊的にそう呼べる存在ではありません／現世において一人として並びえる者のない存在／まさしく絶対者です」（第202話魔石・16～17ページ目）

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